デジタル人材とは?言葉の定義や意味を解説

  • 2023年1月29日

デジタル人材って何が出来る人?

デジタル人材って何するの?

こんな疑問にこたえます。

●本記事の内容
・デジタル人材がどんな人かを解説
・なぜデジタル人材が日本で不足しているかを解説

この記事を書いている私は、メディアを運営したり、デジタルマーケティングの支援を行っています。

今回は「デジタル人材」について、解説していきます。

デジタル人材とは?定義や意味を解説

デジタル人材の定義や意味については、明確な定義や意味があるわけではありません。

システムエンジニアを始めたとした開発者をデジタル人材と呼ぶ人もいますが、それは違います。

広義には、デジタル人材とは「テクノロジーを価値に変えられる人」であるというのが適切な解釈かと思います。

具体的に解説していきましょう。

デジタル人材とは、テクノロジーを価値に変えられる人

デジタル人材とは、テクノロジーを価値に変えられる人です。

NTUC(シンガポール全体の人材開発を担う労働組合的組織)にて人材成長支援の部門長を務めるPatrick氏は、以下のようなコメントを残しています。

知識だけではテクノロジーやデータを顧客価値に変換することができない。顧客の抱える問題を特定し、解決策を打ち出す能力が必須だ。また、デジタルへの変革に戸惑う顧客を説得できるコミュニケーション能力も求められる。時に、解決策は独創的であることが周囲の納得を得るためには必要だ」

私は、この定義がデジタル人材にもっとも適した解釈だと考えています。

この言葉を要約すると、

最先端のテクノロジーを活用して社内や顧客に価値提供できることが必要、つまり「テクノロジーを価値に変えられる人」というのが必要ということであると理解できます。

テクノロジーを価値に変えるとは?

先ほど紹介したPatrick氏の言葉を踏まえて、テクノロジーを価値に変えることについて考えていきましょう。

テクノロジーを価値に変えるためには2つのことが必要であると言っています。

①最先端のテクノロジーを活用できること
②自社や顧客に価値を提供できる
こと

こう分けると理解がしやすいと思います。

ではこれについて解説していきます。

①最先端のテクノロジーを活用できること

最先端のテクノロジーというのは、現代でいえば「5G」や「IoT」、「AI」、「自動運転」などでしょうか。

こういったテクノロジーを活用して事業やサービスを生み出したり、組み合わせて新しい価値を生み出すことが求められています。

たとえば、いままで人の手で行っていたことをAIを使って自動化したり、自動運転を使って輸送ルートを開発したりコストを下げたりする、といったことです。

②自社や顧客に価値を提供できること

最先端のテクノロジーを活用した画期的なアイデアやサービスであっても、顧客に拒否されたり、自社内の承認を得られないなら、その価値を提供することはできません。

アイデアやサービスを実現するためには、ただ開発するだけでなくその必要性を説き、価値提供を実現しないといけないのです。

ケース:自動運転×サービス

実際に「自動運転」を例に挙げてみましょう。

自動運転は、クルマの運転をシステム的に動かすことで事故を減らしたり、渋滞を減らして物流をスムーズにすることができると期待されています。

この自動運転を普及させるためには、自動車そのものの技術革新以外にも、システムを提供する企業側と利用者のサービス体験が一体となっていくことが必要です。

それを達成するためにはデジタルに関する知識や経験、価値を創造する力が求められます。

この目的を達成するのが「デジタル人材」であり、いま現代で求められている人材なのです。

番外編:デジタル人材とIT人材って違うの?

「IT人材」という言葉を耳にしたことはないでしょうか。

デジタル人材とIT人材という言葉の違いについて解説します。

「IT人材」とは、主に政府や報道メディアで使われる用語で、中小企業庁によれば以下のように定義されています。

ITの活用や情報システムの導入を企画、推進、運用する人材

この定義は、先ほど紹介したデジタル人材の定義と比べると少し違います。

しかしこの2つを明確に違うものとして認識する必要性はないのであまり気にしなくて良いでしょう。

参照:第2部 中小企業の稼ぐ力/中小企業庁

デジタル人材を育成するには

ここまでデジタル人材の定義を解説してきました。

ではデジタル人材はどうやったら育つのか、これについて考えてみたいと思います。

まずは日本のデジタル人材の現状について解説し、育成するためにはどうしたらいいかを解説していきます。

日本はデジタル人材が80万人も不足している

経済産業省の調査によれば、デジタル人材は2030年までに約80万人不足するといわれています。

※出典:株式会社MOCHIリリース「デジタル人材特化型 ワンストップ採用支援サービス」を提供

デジタル人材の不足によって技術革新が遅れ、生産性が低下し、海外との差が開き経済に影響を与えていくことは自明です。

デジタル人材不足は「教育制度」が原因

なぜ、日本はデジタル人材が不足しているのでしょうか。

その原因は公教育のデジタル化の遅れにあると私は思います。

日本の公教育は、最新のテクノロジーやデジタル分野の学習を受ける機会がほとんどありません。

そのため大学を卒業して社会に出るまでに、デジタル分野の知識や経験を得る機会が極めて少ないのです。

政府は教育制度を整備しているものの、デジタル先進国には及ばないというのが現状です。

政府は、2020年版ものづくり白書の中で、2020年をめどに公教育においてプログラミングやSTEAM教育など学校のICT環境を整備するとしています。

※出典:2020年版ものづくり白書による育成の方向性

しかし公教育で得られるのは「知識」であり、価値を提供するために必要なスキルや能力を補うことはできません。

学校の紙文化、電話やFAXといったアナログな環境、教える立場である先生がデジタルに弱いといった部分でも、デジタル人材を育成する道のりは長いはずです。

参照:2020年版 ものづくり白書(令和元年度 ものづくり基盤技術の振興施策)概要/経済産業省 厚生労働省 文部科学省

デジタル人材側にも問題あり

教育の環境問題もありますが、実はデジタル人材側にも問題があります。

デジタル領域に携わった人材が一定スキルを習得すると、自分の立場が上になったような感覚に陥ります。

自分のほうが詳しい、デジタルが分かっているという思考になると、デジタルに弱い人たちより自分が優れていると勘違いして、求められていないサービスを開発、提供してしまうことがあります。

これも一種の問題点と言えるでしょう。

世界基準を持った人材が、デジタル人材の目線を引き上げるような環境づくりが必要なのです。

デジタル人材の育成に必要なのは「環境」

デジタル人材の育成に必要なこと、それは環境づくりです。

最新のテクノロジーに触れたり学習する、提供価値を考えたり、サービスをつくって反響を知ること。

こういった環境がないとデジタル人材は育っていきません。

企業内で育成する場合、経営者視点でモノごとを考える力を養ったり、意思決定に多く関わり判断基準を磨いたり、企業内のデジタル化を推進するメンバーに抜擢するなど機会を与えていく必要があります。

そういった経験を通して思考と行動に磨きがかかっていきます。

政府も本腰を入れ始めた

2021年9月、内閣府にデジタル庁が設置されることが報道され話題になりました。

デジタル庁は、日本のデジタル化を促進するために発足された省庁です。

デジタル庁の仕事はマイナンバーカードを普及させ情報を一元管理したり、免許証や国民が行うべき手続きのデジタル化などを推進していきます。

こういった動きは日本にとってはプラスで、デジタル人材が育つ土壌がつくられていると思います。

しかし残念なことに求人内容があまりイケてないので、なかなか人材が集まらないのでは?と考えてます。

これについてはこちらの記事で解説しています

参考:デジタル庁の人材募集がイケてない!?人事のプロが求人内容を評価

さいごに

ここまでデジタル人材の定義や意味を解説してきました。

デジタル人材=テクノロジーを活用して価値を提供する人材 ということが理解できたかと思います。

現在日本が抱えるデジタル人材不足については、育成できる環境が不可欠です。

政府だけを頼りにするのではなく、民間でもそういった環境を用意できる企業が増えることを望んでいます。

当社ではデジタル人材の採用にお困りの企業様向けにコンサルティングや採用支援を行っています。

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