デジタル庁の「人材募集原稿」を勝手に最適化してみた

  • 2021年9月2日

こんにちは、株式会社MOCHIの染谷です。

2021年1月4日、内閣官房デジタル庁にて人材募集がはじまりました。

デジタル化の遅れが指摘されている日本で、菅内閣が看板政策としてデジタル庁を立ち上げたわけですが、その組織ではどんな人材が必要とされているのか注目してみたいと思います。

デジタル庁の採用サイト

求人内容を見た率直な感想は、

本当にデジタル人材を採用しようと思ってるのかな?」です。

yahooニュースで酷評された記事やTwitterを見ると、こう感じるのは私だけではないのかもしれません。

なぜこうなっているのかを解説したあと、ぼくがデジタル庁の採用担当者ならこうするよ、というのを実際にやってみたいと思います。

そもそもデジタル庁って?

デジタル庁は、菅内閣が「国家のデジタル化」を進めるために発足した組織です。

デジタル庁は国家組織として異例の速さで設置され、デジタル改革担当大臣である平井卓也さんも「通常ではありえないスピード」と驚いたほど。

政府の力の入れ具合が伝わってきます。

国家のデジタル化については、単なる情報システム整備や、オンライン化手続き、費用削減、オンライン利用率向上のみが目的ではなく、業務改革を含めた抜本的な見直しが必要と考えられています。

※2021年9月にデジタル庁(https://www.digital.go.jp/)が発足しています。


不足するデジタル人材

政府が主導する抜本的な改革・業務改革を担うために必要とされているのが、今回募集されている「デジタル人材」です。

参考記事:デジタル人材とは?言葉の定義や意味を解説

「デジタル人材」は今後も不足すると言われ、2030年には79万人が足りないという統計データもあるほど、貴重な人材なのです。

どんな人材を採用するのか

ではデジタル庁では、どんなデジタル人材を採用しようとしているのでしょうか。

実際の募集要項を見ていきましょう。

採用予定職種は9つ。
・プロジェクトマネージャー
・プロダクトマネージャー
・クラウドエンジニア
・ネットワークエンジニア
・システムオペレーションマネージャー
・アプリケーション開発エンジニア
・ITストラテジスト
・ITマネジメントスペシャリスト
・リードリクルーター

職種を見ても、専門性の高い人材を求めていることが分かります。

副業、兼業が認めれらている

デジタル庁の採用予定職種の募集要項を見ていくと、すべてに共通していることがあります。

それは、副業や兼業OKという勤務条件です。

<勤務日数>
1週間当たり3日を超えない範囲内でかつ1日あたり7時間45分を超えない範囲内

副業や兼業が認められているわけなので、本業がある方でも国家の仕事に関われる機会をつかむことができます。

採用できないと感じた「2つの条件」

率直に採用できないだろうな、と感じた理由を解説します。

実はこのデジタル庁の求人には2つの条件が組み合わさっています。

求人にある条件とは、

・非正規雇用である
・期間限定である

という2つです。

勤務条件にある、「週3以内で1日あたり7時間45分以内で働ける人」というのは事実上、「非正規雇用者」を指しているとみて良いでしょう。

しかし、業務内容に書かれたミッションや期待値を見ると、デジタル庁としてはできる限り週3、フルタイム近くで稼働できる人が欲しいはず、と考えられます。

そのため本業のあるサラリーマンからすれば週3、フルタイムでこの仕事を受けることが不可能に近いわけです。

早朝や深夜などの働き方や週末副業OKというような言及をしていないかぎり、兼業のハードルは高いというわけです。

そして任期は「採用日から令和3年12月31日までの間」となっています。

ゆえに、このデジタル庁の求人は、

専門性の高い人材に稼働コミットを求めるが、期間限定かつ非正規雇用である

という条件つき求人なのです。

想定する人材は誰か

ではなぜ採用できないと感じるのか、具体例を挙げてみましょう。

専門性の高い職種であるデジタル人材であっても、本業サラリーマンで週3しか働いていない人はいません。

本業でフル仕事をしながら、空いた時間で副業や兼業として政府の仕事にコミットすることは現実的にはかなり難しいと考えられます。

そう考えるとこの求人に応募できる人材は、事実上フリーランスが中心になるわけです。

そして、事実上フリーランスが対象である求人にも関わらず、要項にはそういったことが書かれていない。

となると、この求人原稿は本来の対象者であるフリーランスには全く響かない内容なのです。

これは企業でもよくありがちな光景ですが、募集要項を満たすことを優先しすぎてしまい、肝心の対象者の具体化ができていないケースです。

求人を最適化してみた

こういった募集要項を満たそうとしたプロジェクト要件ありきの求人では、候補者の興味を引くことが難しいです。

その理由については後ほど解説します。

では、ぼくがもしデジタル庁の求人を出すと仮定して、最適化をしてみます。

タイトル【副業・業務委託OK】
国家のデジタル化を促進する精鋭集団を募集!デジタル庁
概要国家のデジタル化に向け、政府内外のメンバーと連携して
抜本的な改革や推進を行うプロジェクトリーダーとして
チームを率いてください。
雇用形態業務委託
勤務日数週1日~ ※ただし週3日以内、1日あたり7時間45分以内
契約期間2021年12月31日まで 
モデルケース①本業で8時~17時勤務の方が、就業後に副業として勤務
②フリーランスの方が週3、1日7時間の勤務
③本業で土日勤務の方が、週2日程度に平日で勤務
募集期間2021年1月4日(月)12:00 ~ 2020年1月22日(金)18:15

いかがでしょう。

これなら対象者も明確であるし、既存の求人よりも魅力的に感じるのではないでしょうか。

求人原稿に足りないもの

私たちが企業様の採用のお手伝いをする中で、採用がうまくいっていない企業には共通点があります。

それは候補者目線の欠如です。

採用がうまく行かない企業は、ポジションや役割、プロジェクトを任せるために必要な要件を求人票につめ込み、スキルや経験値を優先した募集要項になっています。

こういったスキルや経験値が優先された求人の場合、候補者は給料や役職などの条件が良いものを選ぶ傾向があるため、条件が出せない企業ほど採用が厳しくなります。

こうした背景もあり、「条件は出せないけど採用はしたい」という企業様の課題を受けて、当社が行っているのが「求人の最適化」です。

当社で行う求人の最適化ポイントは、候補者への期待をしっかり明記することにあります。

実は候補者というは、条件面のほかに自分がこの企業に入ったらどうなるかという目線で求人を見ています。

そのため、求人内容の中にどんなキャリアが積めそうか、どんな成長ができそうかという「期待値」を入れることで応募する背中を押してあげるのです。

たとえば候補者への期待を例にあげると、
「入社後1年はリーダーとして既存事業を率いてもらい、その後は新規事業責任者として別プロジェクトをすべてお任せしたい。」というように将来を見据えた内容のことを指します。

こういった記載のある求人というのは、他社よりも条件が悪かったとしても応募が集まりやすい傾向があります。

当社で支援した企業様の中でも、求人票最適化によって応募数が150%アップした事例もあります。

採用にお困りの方は当社へ

当社では採用に課題を抱えている企業様に対して、採用戦略立案から母集団形成、採用実務オペレーションまで広く支援を行っています。

採用媒体に出稿してもなかなか応募がこない、候補者の質が低いなど課題をお持ちの場合でも支援が可能です。お気軽にご相談ください。

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